初回限定盤(CD+DVD)TFCC-89614 1,667円(税抜)/1,800円(税込)
通常盤(CD) TFCC-89615 1,111円(税抜)/1,200円(税込)
  • [CD]
  • 01. 不倶戴天
  • 02. ラストダンス featuring ILL-BOSSTINO (THA BLUE HERB)
  • 03. 怒涛の彼方
  • [DVD] BRAHMAN 2016 BEST MOMENTS
  • 01. 賽の河原 / 百万石音楽祭 ~ミリオンロックフェスティバル~
  • 02. BASIS / RUSH BALL 2016
  • 03. SEE OFF / KESEN ROCK FESTIVAL 2016
  • 04. BEYOND THE MOUNTAIN / MONGOL800 ga FESTIVAL What a Wonderful World!!16
  • 05. ARRIVAL TIME / AIR JAM 2016
  • 06. ANSWER FOR... / 茨城県常総市災害復興支援イベント「Dappe Rock's」
  • 07. 警醒 / MIYAKO ISLAND ROCK FESTIVAL 2016
  • 08. PLACEBO / ARABAKI ROCK FEST .16
  • 09. 鼎の問 /風とロック芋煮会2016 KAZETOROCK IMONY WORLD
  • 10. THE ONLY WAY / RISING SUN ROCK FESTIVAL 2016 in EZO
  • 全10会場、全10曲

  • side A. ラストダンス featuring ILL-BOSSTINO (THA BLUE HERB)
  • side B. 守破離 featuring KO(SLANG)
TFCK-38028 1,000円(税抜)/1,080円(税込)

タイトルは「不倶戴天 ~フグタイテン~」。<ともにこの世に生きられない、また、生かしてはおけない と思うほど恨み・怒りの深いこと。また、その間柄>(「デジタル大辞泉」より)という意味の四字熟語を冠した3曲入り作品は、結成23年目にしてなお進化を続ける BRAHMAN というバンドの革新性が織り込まれた傑作。
オープニングを飾るのは「不倶戴天」。前シングル「其限」はストレートな表現で多くのファンを驚かせ たが、この楽曲ではさらに研ぎ澄まされたリリックが聴き手の鼓膜と胸を貫く。 <あるがままの有り様も見ようとせずのたまってた見物人が偉そうに意見と語る あやふやな怒りで他人の人生をテメエのものと履き違えるな> ここまで直接的な表現は BRAHMAN 史上初。これは単なる怒りの発露ではない。エンディングでは大いに心を揺さぶられることになる。この言葉だからこそこの音が鳴っている――そんな必然性を感じさせる1曲は、彼らにしか創り得ないオールドスクールなハードコアパンクチューンに仕上がった。
今年、結成 20 周年を迎え、10/29 に日比谷野外大音楽堂で 20 周年ライブを開催する THA BLUE HERB の MC、ILL-BOSSTINO を迎えた「ラストダンス」は、「不倶戴天」とともに大きな反響を呼ぶだろう。日本を代表するリリシストと BRAHMAN の邂逅は、とんでもない曲を生み出してしまった。 <腹に溜め込んでるのにおとなしい それが大人になるって事らしい 楔を弱気 打ち込むのは同じ ヒップホップ パンクロック言ったもん勝ち ただただまっすぐ進んでみたかった 死に方には拘らない 生き方だ もう聞いてしまったんだ 聞いてた事と違うと知ってしまったのさ> 物語はここからさらに核心へと迫っていく。これはヒップホップとパンク両方の歴史において重要な意味を持つ1曲になる。いや、ジャンルの枠を超えてこの衝撃は伝播していくはずだ。
「怒涛の彼方」も含め、「不倶戴天 ~フグタイテン~」の全収録曲を通じて、リリック、サウンドともに4人が新たな領域に足を踏み入れたことをはっきりと感じるだろう。これこそが2017年のBRAHMAN。これこそが今の時代に鳴らされるべきパンクロックなのだ。
初 回 限 定 盤 に は、<AIR JAM 2016>や 大 ト リ を 務 め た<ARABAKI ROCK FEST.16>、<RISING SUN ROCK FESTIVAL.16>をはじめ、2016年にBRAHMANが出演した 10 のフェスから選りすぐった10の名演を収めたライブDVDが付く。
「ラストダンス」と既に配信リリースされているキックボクシング「守破離」(Knock Out 公式テーマソング)の2曲を7インチとして同時リリースする。北海道札幌 発2大アーティスト「THA BLUE HERB / SLANG」とコラボレーションした2曲のカップリングアイテムに大注目必至。

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一一4人でのインタビューは一年ぶり。当時は新曲「天馬空を行く」ができて、そこから「今年中にアルバムができたらいいね」「絶対ない。自信がある」「これだけは言っておく、アルバムは出ないぞ!」っていう発言がシメになったわけですが………まさに有言実行だなと。
一同:ははははははは!
TOSHI-LOW:難しいよね、有言実行するのって。うっかり出ちゃうんじゃないかと思ったけど、そこは気をつけたよ、出ないように。
一一(笑)何をしてたんでしょうね、この一年。
TOSHI-LOW:ねぇ? でも一年って言われても……最近、時間の感覚がだいぶおかしくなってる。AIR JAM2016もだいぶ前のことって感じだし。
一一去年のフェスでいえば、ARABAKIでのセッションは興味深いものでした。
RONZI:あー、あれ去年だっけ?
MAKOTO:それこそ2年くらい前って感じがするけど……去年の4月か。
TOSHI-LOW:ARABAKIの時みたいなセッションって、ブラフマンではやってこなかったことで。ただARABAKI側に「やれ」って言われたからやったけど、それによって、4人に誰かが加わったところで自分たちは自分たちなんだなってことがわかったよね。楽しめた。
KOHKI:うん、思ったより楽しかった。
一一あのセッションもそうだし、対バン相手は水カンからMOROHAまで広がっていたり。俯瞰で見ると、ジャンルや世代を超えていろんな人と交わっていった一年でした。
TOSHI-LOW:20周年を〈尽未来際〉で区切ったわけだから、もはやその20年をぶら下げて歩くよりは、一からバンドとして外に出ていく感覚があったかもしれない。区切りをつけたことで、逆にそれまで積み重ねてきたことも忘れられたのかな。今さら過去に囚われないし、20何年やってきた長いバンドですって自分で思うこともないし。「ステージ上がればただのバンドじゃん?」っていう感覚。だから若い人たちとやっても新鮮だなと思う。
RONZI:若者、すごいよね? 今「水カンからMOROHAまで」って言ったけど、水カンみたいなのとか、MOROHAみたいなのが出てくること自体が驚きで。そんなの昔いなかったから。そういう新感覚のものと接すると……。
TOSHI-LOW:「新感覚」って言葉が古い(笑)!
RONZI:そうそう。新人類と触れることで、我々もまたフレッシュな気持ちになれますね(一同笑)。
KOHKI:「新人類」に「フレッシュ」(笑)。
TOSHI-LOW:完全に80年代のおじさんの言葉(笑)。
一一今、対バンは選びますか。昔は誰と一緒にやるかでバンド・イメージをコントロールすることが多かったと思いますが。
TOSHI-LOW:時代もそうだったし、「この人たちとはやりたくない」とか、つまんない理由で思ってたね。でも、そういうところで揺れ動くものはもはや自分たちの中にないな。「あいつらと一緒にやったから嫌い」とか言われたら……もうしょうがなくない? そんな理由で嫌われるって、もともとそんなに音楽好かれてないってことでしょ?
一一確かに(笑)。
TOSHI-LOW:対バンとかシーンの話で言えば、昔は4人だけで鳴らせるもの、4人だけで成立するものを、っていう意識がすごく高かった。だから人を招いて一緒に云々っていう発想もまずなかったの。うん……やっぱARABAKIのセッション、今考えればデカかったね。自分たちの曲を違う人が歌ってくれたりして。今はいろんなバンドと一緒に楽しめるし、BOSSが来てもスラングKOが来ても違和感なくやれる。刺激になるよね、いろんな人とやると。
一一それぞれの課外活動も増えてますね。
TOSHI-LOW:今は他の人の現場行って鍵盤と絡んだりするのがすごく楽しい。それこそ超一流の人と一緒にやることもあるわけ。そこで「やっぱすげぇな、ほんと上手いな」って思うんだけど……でもさ、居て安心するのはブラフマンなんだよね(笑)。歌いやすいから、とかじゃなくて、やっぱり自分の家が、住処がここにあるから。
KOHKI:やっぱこのバンドが核になってますよね。それがあるから外行っても楽しめる。
TOSHI-LOW:RONZIだけはブラフマン副業だけどね。本業アイドル(笑)。
RONZI:いやいや、最初っからアレだったら面白くもなんともないじゃん! 一応ブラフマンやってる人が、ちょっとふざけてアイドルみたいにやってるから面白いわけで。そうだよね、あれもほんとブラフマンあってのことだし、楽しませてもらってますよ。ただ……安売りはしないけどね。
TOSHI-LOW:そうだよね、アイドルだからね(笑)。
RONZI:いや、どこでもやってるとネタバレになっちゃう。一発屋で終わっちゃうといけないから(笑)。
一一よくやるなぁと思いますよ。もはや隠すところが何もない。
TOSHI-LOW:さっき言ったように、「誰と対バンしたら嫌われる」とか考えないのと同じ。RONZIの面白い姿を見てブラフマンを嫌いになられても別にいいし……いいっていうか「今まで何を見てたの?」って話じゃん(笑)。「女装するなんて信じられないです、ファン辞めました!」とか言われてもねぇ。もう自分たちのどこを見られても、好かれても嫌われても、別にどっちでもいいとは思ってるかな。
一一もう少し踏み込むと、震災後「いきなり政治の話をしだしたぞ!」って離れていった人も、実際にいると思うんです。それに対しては?
TOSHI-LOW:うーん、今は、政治に触れたいがためにMCをしようとは思わない。もしその日に話すべきことがあれば話すけど。でも、あの時は政治の話じゃなくて生活の話だったから。たぶんその人たちは、政治の話をしだしたから嫌だったんじゃなくて、生活を隠してる俺たちが好きだったんだよ。俺らもステージに上がるところしか見せない方法論だったし。たぶん喋ってる姿も、笑ってる姿すら見たくなかったんじゃない? だから政治や思想云々じゃなくても、いずれその人たちは離れていったと思う。
一一もっと神秘的でストイックな、MCもしない姿が好きだった。
TOSHI-LOW:そうそう。「ありがとう」も言わないみたいな。でも震災後にそれ続けてたら自分が成り立たなかったよね。いろんな行動を始めることもできなかったし。もちろん俺がMCで言ったことにも間違いはあると思うし、「そういう言い方じゃなくてもよくねぇ?」っていうことは多々あったと思うの。でも、そこもやっぱり「言わせてもらったから今こうなんだよ」って言える。無理くり出した言葉がすべて本当に良かったとは思ってない。ただ、それをやったことに関しては後悔してない。「やらせてもらってありがとうございます」っていうのがあるから。だから、離れていった人たちにも、ありがとう、と思ってる。
一一わかりました。では新曲の前に、昨年配信された「守破離」について。これはキックボクシングイベント〈KNOCK OUT〉のテーマソングという命題ありきで作ったんですか。
TOSHI-LOW:うん、命題が先。格闘技イベントのテーマ曲って言われたら、ほんわかしたものはやらないじゃん。そこはみんなでイメージ合わせられたから。「テーマがあるのもいいね」なんて話をしてた気がする。
RONZI:テーマも尺も最初から決まってたからね。「90秒でやってくれ」って。そしたら自然とBPMも決まってくるから。枠があると、それはそれで作りやすい。何やってもいい状態よりは、ちょっと制約があって縛られたほうが、そこに向かって作れるから。
TOSHI-LOW:あと〈KNOCK OUT〉が〈K.O〉って書かれてて。あぁこれはスラングKOだなっていうのもすぐ決まったし。もうハマり役でしょ。
RONZI:あの感じのまま来たもんね。ほんとおっかなかった(一同笑)。レコーディングの時の声も、地獄の底から聴こえてくるやつ(笑)。
一一結果、今までにない面白い曲になりましたね。
TOSHI-LOW:うん、面白いし〈KNOCK OUT〉側にもすごく気に入ってもらえて嬉しかった。今ライヴでKOのパートはみんなで分けてコーラスしてるけど、どっかで一緒になった時は歌ってもらえる楽しみも増えて。いいなと思う。
一一この曲ができた頃、他の新曲もいくつかあったんですか。
RONZI:いや、いろいろ作ってはあったけど。ただ、ちゃんとした曲になってない、まだできてない曲がいっぱいあって。で、結局その時期に作ってたものは今回のシングルに一曲も入ってないの。
MAKOTO:そういえばそうだ(笑)。
TOSHI-LOW:こないだも、そういう作りかけの曲をスタジオでやって、最後みんなの判断が「うん、寝かそう!」だった。そんで寝かした。
一一発酵待ち、みたいな曲がたくさん。じゃあ今回のシングルはそれとは別に?
TOSHI-LOW:うん。むちゃむちゃ新しいよ。
RONZI:そう。結局レコーディングの日程が先に決まって「やべぇ!」って追い込まれてからできたやつ。
KOHKI:やればできるってことですよね(笑)。
一一毎回、先にレコーディング日程決めちゃえばいいのに。
TOSHI-LOW:そうすっと、飛ばす、ってこともあり得るからね。
一一過去にあった気がします(笑)。アルバム、今年は聴けそうですかね。
TOSHI-LOW:いや〜〜〜。
RONZI:いや〜〜。厳しいんじゃないですかね?
一一まぁ、別にそれが目標ではないか。
RONZI:うん。まぁアルバムできたらいいよね、ぐらいの感じ。
TOSHI-LOW:CDをメインに活動してないし、アルバムを軸に何かやるっていう考えでもないから。そういう目標って……持ったことある? オリコン何位に入んなかったら解散しよう、みたいなのやる?
RONZI:引退をかけて。
TOSHI-LOW:オリコン入んなかったらブログやめます!
RONZI:やってねぇじゃん(笑)。
KOHKI:逆にブログ始めるとかね。
TOSHI-LOW:あー、今からやるって辛いね(笑)。
RONZI:でも目標ってことで言えば、この前GAUZEと久しぶりにライヴやって。久しぶりに見たけど……もう凄すぎて。しかも前よりカッコ良くなってるの。「どういうことだよ!」って思うし、それがやっぱり目標っちゃ目標かも。
一一ずっと憧れの先輩が目の前にいる。それを追いかけるだけだと。
TOSHI-LOW:あっちが終わんない限り、差は縮まんないんだよ。むしろ差を開けられてるからね。見るたびに、ああいうライヴやってみてぇなぁって今も思うよね。
RONZI:新曲の「不倶戴天」とか、肉体的にはハードなの。だけどGAUZE見ちゃうと、できないって言えない(笑)。あれ見たら、やるしかない。

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一一新曲、まず「不倶戴天」がめちゃくちゃ格好いい。久しぶりに聴きながら「うぉぉっ!」って声が出ました。
RONZI:俺も歌が入った瞬間、自分で「うぉっ! かっけぇ!」って思った。
一一これだけ怒りが爆発してる曲も久しぶりですね。
TOSHI-LOW:いいでしょ、全編。これ、ギター弾いてたらパッとできちゃって。怒りがテーマとは考えてなかったけど、でも作っていくとこの曲で〈ありがとう、家族〉みたいな歌詞はねぇなって思うじゃん。
一一そんなの歌ったことないでしょ。
TOSHI-LOW:ないけどさ(笑)。まぁこうなるよね。「うぉぉぉぉ!」って感じの、モーターヘッドを直訳したような歌詞にしたいなと思って。もっとFワードとかバンバン入れてもいいと思ってたぐらい。ただね、これ……息するところがないんだよね(笑)。こないだ歌ってみたけど苦しいんだよ。ライヴで泡吹くんじゃねぇかなと思って。……こうやるかもしんない(←左手で耳を澄ますポーズ。右手で客席にマイクを向けるポーズ)。
一同:はははははははははは!
TOSHI-LOW:最後の最後だけ〈許すってことだぁ~〉って(笑)。
一一この曲はギターソロが珍しいですね。ほとんどアドリブのような。
KOHKI:これは適当に弾いたやつ。一番簡単ですね。
TOSHI-LOW:今、KOHKIが弾くアドリブがすっごい格好よくて。ほら、内田勘太郎さんとかとブルースのインプロ・セッションしてるじゃない? もちろん決まりを作ったソロもいくらでも弾けるけど、その場でポーンと出てくるものに「おっ?」って思うことが最近多いから。その感じを出したくて。
KOHKI:そのほうが曲に合ってますよね。きっちり構築するよりは、勢いで行ったほうがいい曲。
TOSHI-LOW:だからライヴも毎回毎回違うのが聴ける。面白いんじゃない?
一一KOHKIくん、最近ブルースにハマってるんですか。
KOHKI:いや、ハマってるというか前からずっと好きだったんですよ。なんか知らないけど今は自分で弾く機会が増えただけで。「あ、こういうの好きなんだ?」ってよく言われるから、今まで知られてなかったんでしょうね。
一一ギター弾きは、よく「ギタリストにとってブルースは欠かせないものだ」と言いますよね。
KOHKI:まぁ基本ですもんね。ロックンロールも、みんなあのブルースのフレーズ弾いてるし。だから避けて通れないというか。
TOSHI-LOW:でも実際に通ってるか通ってないかで全然違うよね。ああいうセッションに出るようになってから、KOHKIの変化、俺はすごく感じる。得るものデカいんだろうなって思うし。経験値としてその人のギターから鳴り出すもの。いわゆる「プルースが鳴る」ってこういうことなのね、って思う。
MAKOTO:うん、シンプルだけどいいフレーズを弾く、っていうのは最近すごく感じる。
KOHKI:ブルースってスリーコードで、コード進行も全部同じじゃないですか。でも誰かが言ってたけど、たとえば「スーツでお洒落して来い」って言われたら、いろんなスーツあるし、ネクタイも選ぶ、場によってはジーパンで行くのもアリだし。靴もそう。そのスタイルの中でいかにお洒落するか、なんですよ。型は決まってるけど無限だし、いろんなバリエーションが試されるっていうか。だから、最近はシンプルがいいなと思うし、そのシンプルの中でいかに格好よくやるかって考えますね。
一一あと「不倶戴天」が興味深いのは、ただ怒るだけじゃなくて〈笑い 終える 望み 日々を渉る〉っていう歌詞が出てくるところ。これはやっぱり必要な言葉だったんでしょうか。
TOSHI-LOW:こんだけ年取ってればさ、自分の吐いた唾は必ず自分に回ってくるってこともわかるから。そういう意味でも、単純に「お前のことぶっ殺す」っていう怒りの歌じゃないんだよね。「社会が悪いんだ!」で終わってたら、何の奥行きも成長もない人間に育ってるってことだから。怒りはさ、あくまでも着火剤であって、燃料じゃないってこともわかってるから。
一一怒りは、燃料じゃない?
TOSHI-LOW:もちろん火は点くじゃん? 何か言われたら「この野郎、見返してやる」って。だからと言って、ずっと怒り続けてたら自分の心が焦げちゃうというか、燃えるものもなくなってしまう。あくまでも怒りは最初の着火剤であって、それをどうしていくかが問題で。だから歌詞もそういうふうになるのが必然だと思う。人に向けたつもりが、書けば書いていくほど最終的に自分に向かってくるし。それは毎回そうなんだけど。
一一なるほど。そしてILL-BOSSTINOとの衝撃作「ラストダンス」。これはどういうふうに決まったコラボなんですか。
TOSHI-LOW:これはね、さっきも話したけど、最近KOHKIが弾くブルースっぽい音がとてもいいなと思っていて。で、元になった曲を作ってる中で、もちろんもっとブルースっぽくして欲しいとは思うけど、今度は自分がどう歌っていいのかわかんなくて、ずっと寝かせてた曲があったの。で、BOSSと一回やろうって話は実は二、三年前ぐらいからもらってたの。
一一あ、そうなんですね。
TOSHI-LOW:なんだけど、BOSSの声も囁くように刺さる声じゃない? だからバンド・サウンドとどう混ざるのか……いわゆるアッパーで「YO! YO!」みたいなミクスチャーではないなと思ってて。むしろOAUの静かな音に乗せたほうがグッと来るのかな、とか考えながらも、その話自体ずっと寝ちゃってたの。で、BOSSはオールディックフォギーとやったでしょ(注:両者のコラボ曲「弾丸さえあれば」。2017年発表)。あの時メールくれたのよ。『最後のほうに〈やらねぇんなら もう待たせんなよ〉って書いたけど、あれブラフマンのことじゃないからね? ほんと違うんだよ』って」
一同:ははははははは!
TOSHI-LOW:びっくりして。『いやいや、思ってもみなかったけど、これは俺が悪いからしょうがないよ』ってメール返したの。そんな気を遣わせちゃったことが申し訳なくて。でもそん時にハッと、あのブルースの曲をBOSSとやったら……って思いついて。すぐみんなに相談して、速攻BOSSに『やろう! 時が来た気がする』ってメールした。
KOHKI:最初、メインの♪チャンカ、チャンカ、チャンカ、チャンカ、のところだけがあったんですよね。ああいうブルージーな、おっさんっぽいトラックにラップが乗るのって聴いたことないでしょ? 面白いなと思って。バンドとラップのコラボでも、ああいう泥臭いのはないから、やってみたかった。
RONZI:BOSSもいっぱいアイディア出してくれたもんね。バンドの音に乗っかるだけじゃなくて「こう変えてくれ」「ここでキメを作って」みたいな意見をいっぱいくれて。だからブラフマンとBOSSのまとまり具合、みたいなものはすごく出てると思う。
MAKOTO:うん。実際にBOSSの声が入ったのを聴いたら「うぉぉぉ!」って思ったよね。「キタな!」っていうか。
一一ちなみに「ラストダンス」というタイトルはどちらから?
TOSHI-LOW:最初、一回だけ俺とBOSSでミーティングしたのね。BOSSは聞き役で、たぶん俺から出てくるワードを引き出して頭にメモってくれたんだと思うんだけど。そこで俺は「踊りたいんだよね。どんなことがあっても踊り狂って、死ぬまで踊り狂いたい、みたいな曲」っていうイメージを伝えて。なんて言うの? 百姓一揆とか、ええじゃないか、みたいな。メインの♪チャンカ、チャンカ、チャンカ、チャンカ、に乗せたいのはそういうことなんだよ、っていう話をしたの。そこから〈踊り〉っていうのは2人の頭の中にずっとあって。で、最後にタイトルは「LAST DANCE」にしたいって言われたんだけど、でも俺は越路吹雪の「ラストダンスは私に」って曲の字面にグッと来るから(笑)。それで、カタカナにしてもらった。
一一これって、実は『超克』の続きですよね。ラストナンバーの「虚空ヲ掴ム」に、初めて〈踊れ〉っていう言葉が出てきた。
TOSHI-LOW:あぁ、そうか。……意図しない無意識なものが繋がってるんだね。
一一当時「〈踊る〉ってワードは女性的なイメージがあって、これまであまり使いたいものではなかった」と発言しているんですよ。今はまた違う意味で〈踊れ!〉と歌えるんだなって。
TOSHI-LOW:うん。さっき言った通り、ええじゃないか、みたいな。誰に何を言われても踊り狂ってる中にだけ真実があるんだろうっていう気がする。ほら、没頭してる時って何も考えないじゃん。でも体は動いてる。上手く踊るとか誰かのために踊るんじゃなくて、ほんとにただただ踊ってる。でもそこに恍惚としたものがあって。そこに自分たちのやりたいことがあるんじゃないかって思う。逆にいえば、我を忘れるまで踊らなきゃ見えないもの。我を見るために我を忘れなきゃいけないんだ、っていうか。
一一そして3曲目は「怒涛の彼方」。これも面白い曲ですね。
TOSHI-LOW:ねぇ。変な曲ですね(笑)。
一一激しいと言えばいいのか、ポップと言えばいいのか。
TOSHI-LOW:ユーモアです(笑)。これ、ドラムからだよね? RONZIがドコドコ叩いてて、「そのドコドコ、いいね」ってところから始まった曲。でも、そのドコドコをベタにやるとメタリックなダークさで終わっちゃう気がして。それでこの足元を掬うような展開が始まるわけです(笑)。すごい怖そうなおじさんが酒飲めなくてほんとは甘党です、みたいな、そういう曲。
一一ギャップ萌え(笑)。でも「不倶戴天」もそうだけど、怒りの曲、明るい曲、悲しみの曲、みたいな感じで感情が分かれてないですよね。今のブラフマンは全部を一緒に鳴らしてる。
TOSHI-LOW:あぁ、そうかもね。ほんとはそうすべきだったと思うのね。だって人間が一面しかないってことはないと思うから。でもそれって難しいの。やっぱり切り取ったほうがわかりやすいし、切り取った良さも当然あるから。でも今は、裏も表もすべて全部入ってたら面白いと思うし、そっちができる技術が今みんなにあるんだと思う。
一一この曲も後半にギターソロがあるけど、コード進行がどんどん明るくなっていって、ラストに向かっていく展開が印象的で。
TOSHI-LOW:「KOHKIの♪キュワ~ンが格好いい!」って盛り上がって、曲が長くなった(笑)。もっかい聴きたい、みたいな話になって。
KOHKI:RONZIから夜中に電話かかってきて。「あそこがすごく格好いいから、長さ変えたいんだけど」って。
MAKOTO:録ったあとにね(笑)。それで曲が伸びたっていう。
一一はい。この新曲たちはもうライヴで聴けるんですか。
TOSHI-LOW:まだやってない。次のライヴからかな。
一一楽しみですね。特に「不倶戴天」。
TOSHI-LOW:……これね(←左手で耳を澄ますポーズ。右手で客席にマイクを向けるポーズ)。
一同:ははははははははははは!

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「不倶戴天 -フグタイテン-」TRAILER MOVIE

BRAHMAN 「不倶戴天」MV

BRAHMAN featuring KO SLANG 「守破離」

  • 4月12日(水) 横浜 BAY HALL
    OPEN 18:30 / START 19:30
  • 4月15日(土) 松山 W studio RED
    OPEN 18:00 / START 19:00
  • 4月16日(日) 高松 festhalle
    OPEN 18:00 / START 19:00
  • 4月21日(金) 福井 響のホール
    OPEN 18:30 / START 19:00
  • 4月22日(土) 富山 MAIRO
    OPEN 18:00 / START 19:00
  • 4月24日(月) 松本 Sound Hall aC
    OPEN 18:30 / START 19:00
  • 4月27日(木) 名古屋 DIAMOND HALL
    OPEN 18:00 / START 19:00
  • 5月20日(土) 福岡 DRUM LOGOS
    OPEN 18:00 / START 19:00
  • 5月23日(火) 周南 RISING HALL
    OPEN 18:00 / START 19:00
  • 5月25日(木) 滋賀 U STONE
    OPEN 18:00 / START 19:00
  • 5月27日(土) 大阪 Namba HATCH
    OPEN 18:00 / START 19:00
  • 6月6日(火) 仙台 Rensa
    OPEN 18:00 / START 19:00
  • 6月7日(水) 盛岡 CLUB CHANGE WAVE
    OPEN 18:00 / START 19:00
  • 6月15日(木) 新木場 STUDIO COAST
    OPEN 18:00 / START 19:00
  • ※チケット一般発売中

6月23日(金) 札幌 PENNY LANE24
OPEN 18:00 / START 19:00

先行販売(抽選)
4月14日(金)12:00〜4月25日(火)23:59
受付URL:http://eplus.jp/brahman0623/

※チケットの購入にはスマートフォンが必要です。
※詳しくは、スマチケ → http://eplus.jp/sys/web/s/spticket/index.html

※入場の際には同行者とお揃い頂いたうえでご入場いただきます。

一般発売
5月13日(土)発売開始